マイ・ブルーベリー・ナイツ

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
My Blueberry Nights


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製作 ウォン・カーウァイ / ジャッキー・パン
監督 ウォン・カーウァイ
脚本 ウォン・カーウァイ / ローレンス・ブロック
原案 ウォン・カーウァイ
撮影 ダリウス・コンジ
美術 ウィリアム・チャン
音楽 ライ・クーダー
衣装 ウィリアム・チャン
出演 ノラ・ジョーンズ / ジュード・ロウ / デヴィッド・ストラザーン / レイチェル・ワイズ / ナタリー・ポートマン




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このビジュアル、絶妙です。この作品の持つドラマ性、スタイリッシュ感をドンピシャに表現している一枚。

写真の右側、本作の主人公をつとめたノラ・ジョーンズは、シンガーとしてはとっくに全世界に才能を認められているが、映画は初主演。

最近ミュージックシーンにおいてもストーリー仕立てのプロモーションビデオが多いので、“歌唱的”ボディアクションだけでなく“ドラマ的”ボディアクションもシンガーはある程度こなれている。とは思ってはいた。が、彼女のピュアな演技がこのドラマを際立たせていることは確か。

役的にもピュアな女性の役どころなので素直に彼女の気持ちが伝わってくるし、また説明的な表現や動作は脇を固めた名優諸氏がさらっと流してくれているので、これは脚本=監督をこなしたウォン・カーウァイの妙ですな。

カーウァイ監督、『2046』で感じたアクの強さが、いい感じで薄くなった気がする。

ずっと映像を担当していたクリストファー・ドイルとのマッチングはよく言えば圧倒的、悪く言えばくどさを感じることがあったが、今回はホンマにエエ感じでナチュラル。



物語は彼女が失恋の痛手を引きずるニューヨーク、ジュード・ロウ(写真の左側)がオーナーの「世界一美味しいブルーベリーパイ」のカフェから旅立ち、メンフィス、ラスベガスへと移っていく。

それぞれの街でさまざまな「愛をつかむのに不器用」な人たちとの出会いがあり、関わっていく中で彼女自身が「愛をつかむこと」を知り、成長していく。という一種のロードムービー。

「彼女、好きなんやったら、追っかけるんやったら、もっと他に方法あるやろ!!」とツッコミたくなるジュード・ロウ。 ハイ、彼も「愛をつかむのに不器用」なんです。

そして主演のノラとジュードのほかにも、「夫婦の愛」をつかみきれないメンフィスの二人にデヴィッド・ストラザーンとレイチェル・ワイズ。

ストラザーンはJ・クルーニー監督作『グッドナイト&グッドラック』でオスカーノミネートされたが、ボクは『激流』でケヴィン・ベーコン演じるエキセントリックな殺人鬼に敢然と立ち向かうお父さん役が印象に強い。

レイチェル・ワイズも『ナイロビの蜂』の名演より、『ハムナプトラ』の女性科学者の方がキッチュで好き。

ベガスでは「親子の愛」をつかみきれない娘、アミダラ家のマチルダ嬢ナタリー・ポートマンがノラ演じるエリザベスに諭す。

「人の言うことを信じちゃいけないって、何回も言ってるでしょ!」

その後の科白が秀逸。

「たまには私の言うことを信じたらどうなの!」

(2007/フランス・中国・香港作品)


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